ベランダの木日記

ベランダで盆栽(とは言えない和風の鉢植え)などを育て始めて4年目の新人です

私の石が欲しい

BSプレミアムの「希少誌道」という番組で、鑑賞石専門誌(「月刊愛石」)が取り上げられると知り録画して見たのだが、これが大変面白かった!石の種類、愛で方、見つけ方、台座の作られ方などなど、石の魅力を浅く広く知ることができ、私のような石の素人にはとてもありがたい内容だった。その中で、私の胸にグサリと刺さる言葉があった。石を愛する女性として登場された方の「石に選んでいただけるような人でありたい」という言葉。石に選ばれたいってどんな感覚なの…?味わいたい…その感覚…!

(「私の石が欲しいメーター」上昇!ピピピ。)

その後、盆栽の先輩であるCさんにも石番組があるそうだとお伝えしていたので、感想を送りあったりする中、私が「探石に行きたくなりました!」と言うと、「そう簡単には見つからないよー笑。まずは本で軽く勉強してみてはどう?古い本の方が面白かったりするよ」と教えていただいた。

早速、図書館のオンラインシステムで水石関連の古い本を5冊予約した。図書館から予約本の準備ができた旨のメールが入ったので赴くと、予約していた5冊のうち3冊が本棚受け取りではなくカウンター受け取りになっている。なんで?と不思議に思いながらカウンターで尋ねると、「お待ちくださーい」と事務所に戻って行ったスタッフさん。少しするとめっちゃでっかい図鑑みたいなゴツい本を3冊エッサホイサと運んできて「こちらになりますー」と笑顔でおっしゃる。「えーーーっ!こんな大きい本だとは!あはははは〜。これは持って帰れませんね!ここで読んで行きます。あはははは〜」と笑いが止まらなくなってしまった私。なんとか笑いを堪えながら、重たい水石本を抱えて読書スペースに移動した。そして、めっちゃでっかい紙を一枚一枚うやうやしくめくり、素人が見ても凄いと思う名品の数々を眺めた。

本の後半に大藪雅孝さんという画家の方が寄せた「愛するわたくしの石達は」という文章が掲載されていた。これがとてもグッとくる文章だったのだ。ビビッときた一文をかいつまんで紹介させていただくと、

「水やりのついでに水をかけたり、時折頭をなでてやるくらいで特別可愛がってはいないけれど、彼等(石達)は庭や棚や部屋の片隅にいつの間にか自分の安住の地を見つけ、いつも黙って私を見つめ、それぞれに安らいでいる」

というような事が書かれていた。石にいつも見つめられてるってどんな感覚なの…?味わいたい…その感覚…!

(「私の石が欲しいメーター」また上昇!ピピピ。)

そのほかにも、「人間や動物や植物のようにうつろいやすく、はかないものに対して、石の不変不動の姿勢は悟りきった禅師と向かい合っているようで、心を内省と自覚に導いてくれる」というようなことも書かれていた。確かに私の棚場の子たちはいつどうなるか分からないからとても心配で、でも、お花が咲いたり紅葉したり、とびきり素敵な変化を見せてくれる。そんな移ろいと儚さがあるからこんなに愛おしく思うのだろう。その対となるような不変不動の石の存在。おお…あったらいいのかも…私をいつも変わらず見守ってくれる石…!

(「私の石が欲しいメーター」またまた上昇!ピピピ。)

今すぐ探石に行きたい。運命の石と出会いたい。とはいえ、どこの河原に行けばいいのかも分からないし、無計画に行ってもさまようだけという話も聞いたし笑、急騰した石への想いはいったん胸の奥底に秘めておくことにした。

探石行で見つけた愛石をお持ちの方と話す機会があったら、その愛石との出会いについて聞いてみたい。いつどこでどうやって出会ったのか。つまずいておっとっととなったその視線の先に転がっていたとか、遠くでなぜかそれだけ光って浮かんで見えたとか、ひたすら泥臭く地道に探して見つけたとか、なんとなく気になって持ち帰ったらだんだんとなくてはならない石になったとか。とにかく、愛石とのエピソードを聞いてみたい。

 

私の石、いつか出会えたらいいな。

 

一度寝かせてから読むと、我ながら「そのテンション、大丈夫?」と聞きたくなるな笑。でも、いいや、これで笑。夢中になって盛り上がっている様というのは傍から見ると滑稽に映りがちなものなのだ。